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ヒナを拾った話 <後編> [生き物]

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セキセイインコのヒナならば、
4時間おきにエサをやるなんて書いてあったけれども、
とりあえず、こいつは天然物なんで
エサが取れ次第、親鳥は口元に運んで来ていたに違いない。
とにかくクチバシを開き、腹が空いているようであれば、エサをやろう。

夜はまだ寒いので玄関に入れ、我が家のデュビア(昆虫)の冬越しに使用したヒーターで
暖めてやった。

翌朝、上の子は6時前からエサを与えたらしい。
小さいお母さんになった気持ちだったかもしれない。
9時すぎから家族で出かけたため、おじいちゃん、おばあちゃんにヒナを預けて出かけた。

夕方帰って来ると、昼間に庭に出していたときに、
親鳥がすぐそばまで来ていたと聞いた。
ヒナを見つけた場所と庭はたぶん10m以上離れていて、
間は建物に隔てられている。

ヒナの声を頼りに一生懸命探さなければ見つけられないだろう。
鳥ってそんなに愛情深いものなのか?
巣から居なくなった一羽のヒナに、それだけ執着するのだろうか。

その翌日も親鳥はやってきて、庭に出したケースの上にまで留まったのを自分の目で見た。

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ヒナは小鳥らしい鳴き声で「チュン チュン」とゆっくりと丁寧に鳴き、
親鳥は返事をしているようでもあるけれど、ネコのように「ビヤービヤー」と早口に鳴いていた。
閉じ込められた子供を悲しんでいるような気もした。

見ていて、親鳥の気持ちが分かった気がした。
恐竜から進化(分化)したこの生き物は、結構愛情深いのだ。
居なくなった、たった一羽のヒナを探し回るのだ。

すぐに返してやろうという気持ちになった。
親が守ってくれるならば、ネコの心配もする必要がないだろう。

ケースのフタをスライドさせて開けておいたが、
ヒナは飛び立たなかった。
親鳥も中に入ることはなかった。
そのうち雨が激しく降ってきたので、
その日は放すのをやめた。



親鳥の姿を撮影できたので、調べてみるとどうやらカワラヒワという鳥らしい。

さらに翌日13日、この日は午前中からケースのフタを外した。
この時にはだいぶ産毛も抜けていた。少しは成長したのだと思う。
私は見ていなかったけれども、塀の上に飛び立ったそうだ。
しばらく塀の上にいて、そのうち、親を追いかけたのか上手に飛んだらしい。

おおよそ、巣のある位置が分かった。
すぐ近くの木だった。

ヒナは助けてもらったと思っていただろうか。
捕まったと思っていただろうな。

後から調べてみると巣立ちを迎えたヒナは
しばらく親鳥と飛ぶ練習をするらしい。
あの時、巣から落ちたと言うよりは、
飛ぶ練習に疲れ果てて、休んでいたというのが本当のところなのだろう。

なんだか鳥の声が前よりもよく聞こえるようになった。



今日も木の上からヒナの鳴き声がずっと聞こえていた。













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